病院
2025.10
福岡県
社会福祉法人 恩賜財団済生会 福岡県済生会福岡総合病院
アシスネットとダイキンエアテクノの保守により、空調機が故障しても素早く再稼働できる体制を構築。さらに、稼働状況の可視化は来期の予算編成に役立っています。
1919年(大正8年)の開設以来、福岡県下の医療の中核として、地域に密着した医療活動・福祉活動を推進している社会福祉法人 恩賜財団済生会 福岡県済生会福岡総合病院様。今回、アシスネットを導入した経緯と効果について、用度・施設課長 宇治川 猛様、用度・施設課 岩﨑 大輔様にお話を伺いました。
目次
| 建物概要: | 地上14階・地下2階建て、延床面積 17,770m2 |
|---|---|
| 契約概要: | アシスネット + 保守 |
| アシスネット 接続数: |
78台 |
福岡市の中核となる高度急性期病院
社会福祉法人 恩賜財団済生会 福岡県済生会福岡総合病院様の概要をお聞かせください。
当院の母体である社会福祉法人 恩賜財団済生会は、「医療を受けることができないで困っている人たちに施薬救療の途を講ずるように」という明治天皇の言葉を受け、伏見宮貞愛親王を総裁とし、当時の内閣総理大臣、桂 太郎が会長となって1911年(明治44年)5月に設立されました。現在は東京に本部を置き、40都道府県に支部を設置しています。
福岡県済生会福岡総合病院は、1919年(大正8年)に福岡市中央区天神の現在地に福岡診療所として開設。現在の診療科目は25科、病床数は369床(救命救急センター 34床、HCU 12床、SCU /脳卒中治療室 9床)、職員数は1,022名(2025年6月現在)で、地域の中核となる高度急性期病院へと発展しています。
さらに、福岡地区3次救急医療施設(救命救急センター)の運営、災害拠点病院としてのDMAT(Disaster Medical Assistance Team)活動、地域医療支援病院としての地域医療連携強化、地域がん診療連携拠点病院としてのがん診療体制の整備、臨床研修指定病院としての若手医師の教育や看護師特定行為研修制度の推進など、当院に求められる役割を果たしながら「地域に安心を与える病院」として医療に携わっています。
入院患者様および職員の健康のために空調機は重要
空調機の稼働状況を教えてください。
水冷式ヒートポンプと一般的な業務用の空調機を設置しています。なお、指定したわけではありませんが、業務用の空調機に関してはダイキン製が大半を占めています。
福岡県済生会福岡総合病院様にとって、空調機はどういった位置付けの設備なのでしょうか。
当院に限らず、どの医療機関においても空調機は非常に重要な設備なのは間違いありません。まず、入院患者様の体調を管理するうえで空調機が果たす役割は何よりも重要です。そして、医療に従事する職員の健康維持のためにも空調機は欠かせません。また、当院は一次救急や二次救急では対応が難しい重症患者に対応する三次救急医療施設に指定されており、原則24時間体制で救急患者を受け入れることになっています。つまり、24時間365日稼働しているため、空調機も同様にフル稼働が求められます。そこで、水冷式ヒートポンプでは補えないところを業務用の空調機で対応している状況です。
空調機の保守を効率化できる仕組みを模索
空調機についての課題をお聞かせください。
現在の病院建物が竣工したのは2000年ですから、すでに20年以上が経過しています。ご存知の通り、現在は最高気温が35度を超える猛暑日が多々あるように、当時とは温度状況が大幅に変わってきており、空調設備を含めた建物全体の設計が追いついていない部分があります。そのため、毎年のように空調機の見直しや増設などを行う必要がありました。ただし、病院建物内に設置できるチラーや室外機のスぺースは限られているため、台数やサイズなど考慮しながら検討しなければなりませんでした。
空調機を含め、病院設備を維持・管理する人的リソース不足も大きな課題でした。少子高齢化などの影響による人手不足ということもあり、リクルートで容易に人が集まる状況ではありません。そうした限られたリソースでは、業務が山積みとなってしまうことが多々あるため、空調機のトラブルが発生した場合、素早く現場に向かって迅速に対応することは困難です。
空調機に故障や不具合が発生した際、修理に時間がかかってしまうことも課題でした。患者様や職員の健康を考えると早急に修理したいところですが、業者も我々と同様に多忙なため、点検を依頼してもすぐに駆けつけることができません。さらに、点検してもメーカーを呼ばなければ解決できないことが多く、さらに数日のタイムラグが生じてしまいます。こうした状況を踏まえ、空調機の保守を効率化できる仕組みを長年模索していました。
スピーディーかつ的確な対応によって取引範囲が拡大
ダイキンエアテクノとの取引が始まったきっかけを教えてください。
系列の医療機関から紹介されたことが始まりです。まずは小さな修理・修繕を依頼させていただきました。その際、担当営業の方やサービスエンジニアさんのスピーディーかつ的確な対応が素晴らしく、徐々にお付き合いの幅が広がっていきました。
とくにチラーの交換では尽力いただいた印象があります。前述した通り、当院の設置スペースは限られており、サイズの大きなチラーへの交換はできません。そういったときにダイキンエアテクノは、実際に現場を見ながら性能やサイズのバランスを考慮して最適なチラーを提案してくれました。
また、管理の煩雑さを解消するため、空調機に関する機器が院内外にどれぐらいあるのか可視化することを提案いただきました。ダイキンエアテクノは院内外をくまなく見て回り、全空調機を調べて空調マップを作成。これを見れば、当院の空調機をすべて把握できるため、管理の煩雑さはかなり解消されたと思います。
トラブルがすぐに分かる異常お知らせメールが契約の決め手
アシスネットを知ったきっかけ、契約の決め手を教えてください。
省エネをテーマにしたダイキンエアテクノの講習会に呼んでいただいた際、アシスネットの存在を知りました。契約の決め手は、トラブル発生時の早期対応が可能な異常お知らせメールが搭載されていたことです。通常、空調機にトラブルが発生した際は、院内の職員などから連絡を受けて業者を呼ぶという段取りのため、どうしてもタイムラグが発生してしまいます。しかも、土日にトラブルが発生した場合は翌月曜日の対応。さらに後手に回ってしまいます。
こうした対応の遅れは、さらなるトラブルを招きかねません。例えば、衛生管理・温度管理が重要な手術室において、手術中に空調機が故障してしまうと一大事につながってしまう可能性があります。もちろん、手術室の空調機は二系統用意しているため、一台が故障してもすぐに大きなトラブルになることはありませんが、状況を把握して適切に対処する対応は必須です。そのために重要なのはいち早く気づくことで、それを可能にできるのがアシスネットの異常お知らせメールです。
異常お知らせメールは、異常を検知したと同時に誰よりも早くメールで知らせてくれます。夜間や休日を問わず、異常を検知した瞬間にメールを送信してくれますから、我々もその場で対応することができます。余計な人的リソースを必要とせず、空調機のトラブルをリアルタイムに把握できるということで、アシスネットを契約することにしました。
他に検討されたサービスはございますか。
他メーカーにもアシスネットと同様のサービスはあるのかもしれませんが、当院はダイキン製の空調機が多かったこともあって他は検討していません。何よりもダイキンエアテクノのスピーディーかつ的確な対応に満足していましたから、アシスネットにも大きな期待を寄せて契約させていただきました。
導入プロセスとダイキンエアテクノの対応、現在の稼働状況をお聞かせください。
院内での作業はなく、院外にある空調設備にIoT端末を設置し、動作チェックを行うまでが導入の作業でした。スムーズに進み、トラブルなどはなかったですね。ダイキンエアテクノの対応もいつも通りで、何もいうことはありません。
現在、アシスネットにはダイキン製の空調機が78台つながっています。これは当院の約8割に相当しますので、院内の空調機はほぼアシスネットで管理できている状況です。
計画的な空調機保全と運用コストの削減に貢献
アシスネット導入後の効果をお聞かせください。
空調機保全を計画的に行える稼働状況の可視化
アシスネットのアプリを参照すれば、系統ごとに空調機の稼働時間がランキング形式でグラフ表示できるなど、稼働状況が可視化されました。これにより、稼働時間が長い空調機はあらかじめ故障に備えておくことが可能。故障する前に部品を交換すれば、故障にともなう出費を最小限に抑えられます。このように、空調機保全を計画的に行えることは大きなメリットです。
リーズナブルな運用コスト
アシスネットはリーズナブルなコストで運用できるため、78台もの空調機をつないでいても大きな負担にはなっていません。また、異常お知らせメールやダイキンエアテクノの保守により、空調機が故障しても素早く再稼働できる体制が整いましたから、空調機の故障時に患者様を別の病室に移すなどの付帯業務削減にも貢献しています。
予算編成に活かせる
稼働状況の可視化は、来期の予算編成に役立っています。可視化されたデータをもとに、来期に必要な空調機の更新や修繕などの費用を予算化でき、さらに空調機に関する予備費の部分を大きく削減することが可能になりました。
●アシスネットのアプリによる各種表示
稼働時間をランキング形式でグラフ表示できるなど、空調機の稼働状況を可視化することができます。
中長期的な空調機の提案にも期待
今後の展開とダイキンエアテクノへの期待をお願いします。
まずは適宜、空調機の更新を行っていく予定です。喫緊では1階の患者支援センターの入退院支援室が夏場は非常に暑いため、ワンランク上の空調機に更新できればと考えています。
ダイキンエアテクノには、さらなる支援に期待しています。我々の業務は病院設備の管理・運用全般で多岐に渡りますから、空調機だけに注力することはできません。そういう意味では、ダイキンエアテクノに空調機の保守を支援いただいている現在の状況は、大きな負担軽減につながっているのは間違いありません。ただ、我々は空調機の知識は十分とはいえないため、ダイキンエアテクノの知見に基づいたさらなる提案や支援は不可欠だと考えています。例えば、短期的には来期における空調機の更新・修繕提案、そして中長期的には10年後まで見据えた空調機の最適化などをプロの目線で提案していただけると有り難いですね。今後ともよろしくお願いします。
ダイキンエアテクノより
この度はお忙しいなか、お時間を頂戴し誠にありがとうございました。病院設備管理の一つである空調機およびIoTを駆使し、少しでもご負担を軽減できるよう尽力させていただきます。今後も“止まらない空調”を目指し、取り組んでまいりますので、引き続きダイキンエアテクノを末永く宜しくお願い申し上げます。
九州支店 ソリューション部 ファシリティ営業Gr 川井 健太郎
取材日:2025年10月









