オフィス

2019.02

千葉県

船橋フェイスビル

エレベーターでの搬入が条件となり、一転してモジュールチラーを採用。効率よく稼動させることができ省エネで、柔軟な運用も可能ですね

東武ビルマネジメント株式会社 船橋フェイスビル設備警備所 所長 冨田利男氏(写真左) 技術管理部 部長代理 髙橋達也氏(写真右)

  • 空調

2003年3月の竣工以来15年ぶりの空調設備更新を行なっている「船橋フェイスビル」の設備管理を担当する、東武ビルマネジメント株式会社の同ビル設備警備所 所長 冨田利男氏(写真左)、本社 技術管理部 部長代理 髙橋達也氏(写真右)に、スタイルフリーチラー『JIZAI(ジザイ)』導入の経緯を伺いました。

ソリューション提供概況
建物: 商業・オフィスビル(鉄筋コンクリート造・鉄骨造/地下3階・地上14階・塔屋2階/延床面積46,488㎡/竣工2003年)
工事内容: 空調設備更新(7~14階)
導入機器: スタイルフリーチラー『JIZAI』(50HP)×12台
工期: 1期 2018年3月~2018年4月(完了)
2期 2019年3月~2019年4月(完了)
3期 2020年3月~2020年4月(予定)
船橋フェイスビル

船橋フェイスビルについて

船橋駅南口第一地区の市街地再開発事業として建てられ、2階部分にはJR船橋駅と京成船橋駅を結ぶコンコースが設けられている。低層階には飲食店や物販店が、中高層階には船橋市の公共施設や銀行・企業オフィス、教育サービス施設などが入居している。

東武ビルマネジメント株式会社について

東武グループの中核企業として1969年に設立。ビルやマンションをはじめとする各種建物施設の設備管理・清掃衛生管理・警備や工事・設計施工監理のほか、ショッピングセンターの店舗開発・運営管理なども手掛ける。本社/東京都墨田区。

1.相次ぐ故障で夏の空調運用が限界に

今回の空調設備の更新を行われたのは、どのような経緯からですか?

当社が船橋フェイスビル管理組合法人からの委託で設備管理を行うようになったのは、2009年7月からでした。ビル竣工が2003年3月ですから、その頃はまだ空調設備も特に問題なく稼働していました。ちなみに同ビルの空調設備は、6階までの低層フロア用のものが地下に、7階からの高層フロア用のものが屋上に、分かれて設置されています。
状況が変わったのは2011年。3月に起こった東日本大震災の影響で、屋上に3台ある氷蓄熱ユニットのうち1台の、蓄熱槽のひとつが水漏れにより使用できなくなってしまいました。その後も使用年数が長くなるにつれ、部品交換や故障修理などのメンテナンス費用がかさむようになり、徐々にその年の夏を無事に越せるかという不安もでてきたため、高層フロア用の空調設備更新の、具体的な検討を始めました。
当初は、既存機器を扱っていたメーカーをはじめ氷蓄熱ユニットを中心に検討を進めていたのですが、搬入計画を立てていくなかで、ビル周囲の道路幅が狭くクレーン車を止めることができないとの理由から、ゴンドラでの搬入ができないことが判りました。そのことで挙がっていた機器はいずれも候補から外れることになり、業務用エレベーターで最上階まで運ぶことが必須条件になりました。

2.『JIZAI』採用の決め手は搬入しやすさと稼働効率のよさ

『JIZAI』についてはどのように知りましたか?

新たに模索するなか、当社本部の鉄道技術部からダイキンのモジュールチラー『JIZAI』ならエレベーターでの搬入も可能ではないかという情報が入ったので、ダイキンエアテクノの高橋さんにコンタクトを取り、詳細を伺うことにしたんです。
サイズについては業務用エレベーターを使って搬入できることがあらためて確認できましたし、また熱源ユニットが4つに分かれているため、より効率よく稼働させることができ省エネであるうえ、機能不全や機器寿命への対策にもなっていることが解りました。さらに

  • 既存の基礎の上に設置できる
  • 改装対応により塩害仕様にできる
  • 機器自体の構造の耐震性が優れている

など、時流や同ビルの設置環境を考慮しても適した製品だと思えましたので、すみやかに採用が決まりましたね。

撤去した既存機器の基礎に設置し配管も可能なかぎり流用

3.既設機器を併用しながら段階的に更新

段階的な更新を選ばれたのはなぜでしょう?

もともと同ビルの所有者にあたる理事会と管理組合の間で決まっていた空調設備更新の予算計画が3期に分けたものだったのですが、結果的にそれを少し前倒しで進めているかたちになります。すべてを一度に進めれば春や秋の中間期だけでは終わらず、空調設備が必要な時期に差し掛かることが予想されたのも理由ですね。工期はそれぞれ

  • 1期 2018年3月〜2018年4月施工完了〔氷蓄熱ユニット 2機 → 『JIZAI』7機〕
  • 2期 2019年3月〜2019年4月施工完了〔氷蓄熱ユニット 1機 → 『JIZAI』3機〕
  • 3期 2020年3月〜2020年4月予定〔空冷ヒートポンプチラー 1機 → 『JIZAI』2機〕

となっており、3期を終えるまでは新設機器と既設機器を併用しながら段階的に入れ替えを進めていく予定です。

1期更新として2台の氷蓄熱ユニットを7台の『JIZAI』に入れ替え

施工の際に難しい面はありましたか?

高層フロアのための業務用エレベーターが1台しかなく、これはテナントの従業員の方々や他の業者の方々も使用するため、設置作業は日中に行っていただき、搬入・搬出時間は深夜0時~翌朝6時にお願いしていました。テナントとしてオフィスだけが入居しているビルなら、土・日曜日の日中に一連作業として進めていただけるのですが。
また、既設機器についてもエレベーターでの搬出となるため解体・裁断する必要があったのですが、その際、階下のテナントからフロアに音が響くとの声が寄せられたため、中止して深夜帯に進めていただいたこともありました。
条件の限られたなかでしたが、ダイキンエアテクノの工事担当の金子さんも一生懸命やってくれていましたし、おかげさまで工期についても目指していたゴールデンウィーク前までに完了していただくことができました。

4.安定した冷暖房の供給が可能で消費電力は大幅に減少

1期の施工を終えて9ヵ月になりますが、空調設備の稼働状況・電力消費に変化はありましたか?

現在、7~14階の高層フロアの空調設備として

  • 『JIZAI』 7機
  • 氷蓄熱ユニット 1機
  • 空冷ヒートポンプチラー 1機

が稼働しているのですが、氷蓄熱ユニット 2機を『JIZAI』7機に入れ替えたことで、台数が増え、さらにモジュールであることから、一部に故障が発生しても空調が停止するリスクを大幅に軽減でき、テナント様へより安定した冷暖房の供給が可能になったことは非常に良かったと思います。
また『JIZAI』は使用状況に合わせて自動制御で運転負荷の最適化を図ってくれますので、すでに省エネ効果を発揮しています。前年同時期の消費電力と比較すると、夏場の冷房シーズンは約80%程度、冬場の暖房シーズンは約45%程度に抑えることができていますね。段階的な入れ替えでこれだけの省エネ効果につながっていますから、3期までの更新完了後にはより大きな差を生み出してくれるのではと期待しています。

1期更新として氷蓄熱ユニット2機を『JIZAI』7機に入れ替えた直後の2018年5月から、取材を行った2019年2月までの10ヵ月間の消費電力量を比較。
トータルでも約30%削減されており、段階的な更新ながら大幅な省エネが実現されている。
地下にある防災センターで機器の発停や稼動状況の監視が行われている
二次側のエアハンドリングユニットおよびファンコイルユニットは既設流用

運用面についてはいかがでしょう?

更新前は朝8時~夜22時の時間帯でしか稼働させることができませんでしたが、『JIZAI』を導入したことにより、これまでよりもフレキシブルに対応できるようになりましたね。現在、一部希望のあったテナントのフロアでは30分早く稼働開始しています。

今後も空調設備更新は続きますが、ダイキンエアテクノへご要望などありましたらお聞かせください。

電力会社の担当者に聞いた話によれば、2018年の夏は例年に比べても気温が高かったため、デマンドオーバーしたビルがかなりあったそうなんですが、当ビルでは『JIZAI』を中心に稼働させながら、ピークを迎える前に残る1機の氷蓄熱ユニットに蓄えられた電力を活用するやり方でデマンドオーバーすることなく乗り切れたんですね。次の2期更新を終えた今年の夏は氷蓄熱ユニットが3台とも『JIZAI』に置き替わった状態になりますから、ダイキンエアテクノには昨年の電力消費データをもとに、最適な稼働・運用へ向けたご提案をお願いできればありがたいですね。

お話をうかがった方

冨田利男氏
東武ビルマネジメント株式会社 ビルメンテナンス事業本部 同ビル設備警備所 所長。柏高島屋ステーションモール設備管理所で16年間所長を務めた後、東武百貨店船橋事業所 所長、本社技術管理部勤務を経て2017年4月より現職。

髙橋達也氏
東武ビルマネジメント株式会社 ビルメンテナンス事業本部 本社 技術管理部 部長代理。2012年10月~2014年12月、同ビル設備警備所 所長。その後グランドハイアット東京設備管理所 所長を経て2017年4月より現職。

船橋フェイスビル管理組合法人様より

もともと既設機器の氷蓄熱ユニットは、特に夏場の13時~16時のピークタイムに活かすことを考えて採用したものでした。ですが経年による性能ダウンや相次ぐ故障を抱えるなか、氷を溶かしきらないよう気を配りながら冷暖房を供給し続けるために、管理・制御する方々にはずいぶん苦労いただいている状況でした。
またテナントも竣工当時からいくぶん変わり、行政や教育、医療、金融、不動産、美容など営業時間帯もさまざまなサービス業態で構成されるようになっていますので、氷蓄熱ユニットによるセントラル空調ではすべてのテナントへの十分な対応も難しく、非効率になりつつあったんですね。
今回の更新はすでに完了している1期から約2年に亘りますが、モジュールチラーである『JIZAI』に入れ替わっていくことで効率良く安定した稼働・運用が可能になり、電気使用量の大幅な削減はもちろん、テナントごとの異なる空調ニーズにもお応えしやすくなると思います。ほんとうにいいタイミングでいい製品をご提案いただけたなと思っています。

船橋フェイスビル
管理組合理事
有限会社フェイス
マネジメント取締役
坂巻貞克様

ダイキンエアテクノ担当より

冨田所長、髙橋部長、お忙しい中貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました。テナント様に大きなご迷惑をおかけすることなく工事を無事完了でき嬉しく思っております。2期工事に続き、3期工事も控えておりますので、今後ともダイキンエアテクノをよろしくお願いいたします。

(ダイキンエアテクノ株式会社 東京支店 ソリューション営業部 高橋 雄途)

同じ記事のPDF版もご用意しています

取材日:2019年2月

Case納入事例

すべて見る

Video動画で知る

すべて見る