オフィス
2016.10
愛知県
豊和工業株式会社
国の補助金を活用し、本社ビルの空調をガスから電気に更新しました。冷暖房用ガスの使用量がゼロになり、電気使用量も10%以上減りました。
豊和工業株式会社 設計統轄兼技術部管掌 取締役 吉田匡宏氏 常務取締役 総務部門長 石原啓充氏 技術部 部長 近藤和宏氏
愛知県清須市の豊和工業株式会社 本社工場では、平成25年、地上5階地下1階 延床面積8662m2の本社ビルの省エネ改修をダイキンエアテクノに依頼しました。省エネ改修を実施した経緯と効果、およびダイキンエアテクノへの評価を、常務取締役 総務部門長の石原啓充氏、設計統轄兼技術部管掌 取締役の吉田匡宏氏、技術部 部長の近藤和宏氏にうかがいました。
目次
豊和工業株式会社について
工作機械、空・油圧機器、電子機械、清掃車両、金属製建具、火器等を製造・販売。1907年(明治40年) 豊田式織機株式会社として設立。本社愛知県清須市須ケ口。資本金9,019百万円。従業員数761名。東証一部・名証一部上場。(2016年6月28日現在)
1.国の補助金を活用し、延床面積8662m2の本社ビルの空調を更新
豊和工業株式会社では、今回ダイキンエアテクノに何を依頼しましたか。
当社では、本社工場の本館ビルの省エネ改修をダイキンエアテクノに依頼しました。
このビルは地上5階 地下1階、延床面積8662m2で、改修着工時点で築42年でした。
今回の改修では、ガス焚吸収式のセントラル空調を高効率のヒートポンプ式個別空調に更新した他、外壁面窓に日射調整フィルムを施工し、さらに最上階天井裏にグラスウール断熱材を施工することにより、建物全体の省エネ性を向上しました。
今回の改修は、国土交通省が実施した既存建築物省エネ化推進事業に認定され、費用の約3割が国から補助されました。
補助金の交付要件を満たす改修計画の策定だけでなく、補助金の申請書類の作成も、ダイキンエアテクノが代行してくれました。
2.冷暖房ガス使用量が年50,000m3超からゼロに。電気使用量も10%以上減少
改修による省エネ効果を教えてください。
空調をガスから電気に変えたことで、当然ながら冷暖房用のガス使用量がゼロになりました。しかも意外だったことに、電気使用量も10%以上減少しました。
更新前は冷暖房用に都市ガスを年間5万数千m3使用していましたので、費用で見ると、ガス代・電気代合わせて約30%の削減になりました。
実は空調を更新するにあたり、「ガスのままで行くか、それとも電気に変えるか」はかなり迷いました。毎年電力使用量の削減目標を定め、全社的に節電に取り組んでいる中、「電気空調を導入すれば、電力使用量が増大してしまうのではないか?」と懸念していたのです。
実際には、ガス空調からの切り替えで電力使用量が増えたのは、暖房がフル稼働する1~2月だけでした。冷房がフル稼働する7~8月は、電力使用量が5~10%以上減りました。冷暖房の使用頻度が低い時期の電力使用量は、30%前後も減りました。更新前の古い空調は、送風だけでかなりの電気を使っていたわけです。
日射調整フィルムと天井断熱材で、建物全体の省エネ性能を高めた効果も大きいと思います。以前は春から夏に南側の窓のそばにいると非常に暑かったのですが、日射調整フィルムを貼ったことで、体感的にも明らかに暑さが抑えられています。
空調について、電力使用状況や部屋ごとの使用状況を監視できるようになったことも、省エネに貢献しています。無駄に空調を使用している部屋があったとき、すぐ見つけて注意できるようにもなりました。
省エネ以外に、改修の効果を実感することはありますか。
セントラル空調から個別空調になり、部屋ごとに細かく温度調整できるようになったのは嬉しいです。同じ建物内でも場所によって暑さ・寒さの違いは大きいのですが、以前はそのような差にまったく対応できていませんでした。
シーズンごとの冷暖房切り替え工事が不要になり、たとえば10月でも必要であれば冷房を入れられるようになったのも大きいです。以前は暖房に切り替えたあとは気温が30度近くなっても冷房が入れられず、従業員だけでなくお客様にまで我慢を強いてしまうことがたびたびあり、心苦しく思っていました。
3.前回の空調更新から約15年が経過し、故障が続発していた
今回の省エネ改修を実施するに至った経緯を教えてください。
前回この建物の空調設備を更新してから約15年が経過し、故障が頻発するようになったことから、再度の更新の必要性を感じるようになりました。前回の更新の際は冷温水機の熱源を重油焚きからガス焚きに変えただけで、パワーは向上したものの部屋ごとの細かい温度調整はできないままでしたので、今度の更新を機に個別空調に切り替えたいと考え、情報収集を始めました。
ただ私たち製造業では、製造に直接関係しない設備への投資はどうしても後回しになるところがあり、実施はしばらく保留になっていました。
「製造に直接関与しない」本社ビルの空調更新に、どのような契機で踏み切りましたか。
一つの契機になったのは、空調更新を建物全体の省エネ改修として実施することで、国から補助金が下りる可能性があることを知ったことです。補助金の存在を教えてくれたのは、ダイキンエアテクノでした。改修によってエネルギー使用量も経費も抑えられるとわかったことも、実施の決定を後押ししました。
ちょうど同じタイミングで、このビルを耐震補強することになったことも大きな契機になりました。耐震補強を実施するということは、今後このビルを最低でも20~25年は継続して使うということです。本社ビルも、会社全体としての重要インフラの一つであることは間違いありません。本社ビルの空調も、それだけ長期にわたり使用するインフラにふさわしい設備に更新するのが適切と判断しました。
4.一番「かゆいところに手が届く」施工会社を選んだ
省エネ改修を依頼する施工会社を決めるにあたり、ダイキンエアテクノ以外の候補も検討しましたか。
大手ゼネコンを含む複数の候補を検討しました。
候補に上がった複数の施工会社の中から、ダイキンエアテクノを選んだ理由を教えてください。
ダイキンエアテクノから提出された施工計画が、さまざまな点で最も配慮が行き届いていたからです。
たとえば「部屋ごとにきめ細かく温度調整ができるようにしたい」という私たちの要望に対し、ダイキンエアテクノからは、まさに私たちの要望どおりの設備構成が提出されました。これに対し他社から提案された設備構成は、温度調整がフロアごとにしかできないなど、私たちの希望を十分満たさないものでした。
細かい実務上の相談に対する回答も、ダイキンエアテクノの担当者が一番的確で、万事「小回りが効く」「かゆいところに手が届く」印象でした。
ダイキンエアテクノが策定した工事計画について、評価されている点があれば教えてください。
本社ビルとして使用し続けながらの工事でしたので、工事可能な曜日も時間帯も限られており、部署ごとの都合にも対応しなければならない中、こちらの要望どおりきめ細かい工事スケジュールを組んでくれたことを評価しています。おかげで業務への大きな支障もなく、冷暖房が必要な時期にも補助金交付上の期限にも、工事完了を間に合わせることができました。
実際の工事に関して、評価されている点があれば教えてください。
当社工場は防衛省様に納入する火器なども製造しています。このため一部エリアについては、通常以上のセキュリティ確保を期す必要があります。ダイキンエアテクノはこうしたセキュリティ確保の面でも、私たちの要求に応じた人員配置等を実施してくれました。
5.改修完了後、さらに2件の補助金を獲得
工事完了後のダイキンエアテクノの対応について、評価されている点があれば教えてください。
今回改修した本館ビルが建つ敷地には他にも工場棟など十数棟の建物があり、空調が老朽化・低効率化した棟については、設備の更新を順次進めています。今回のように建物全体の改修で国の補助金を活用できる案件については、できるだけ補助金を活用したいと考えています。
補助金の獲得に必要な申請事項や資料は膨大で、私たちのような一企業が独力で作成するのは非常に困難です。
本館ビルの改修完了後、さらに工場1棟、および食堂・厨房の計2件の空調更新に国の補助金を活用できましたが、いずれの案件も、ダイキンエアテクノが改修計画の策定から施工までトータルにサポートしてくれました。
また、保守・メンテナンスが必要になったときはすぐに対応してくれるので、担当者も喜んでいます。
空調更新を検討している企業や施設の方へ、何かアドバイスがあればお願いします。
セントラル空調から個別空調への切り替えは、快適さだけでなく省エネの観点からもメリットが大きいと実感しています。
施工会社を選ぶときは、やはり細かいところまで相談に乗って対応してくれるところを選ぶのが一番だと思います。
最後に、今後の抱負とダイキンエアテクノへのご期待をお聞かせください。
豊和工業株式会社では、工作機械や車両等の製品の性能の面でも、生産設備や施設の面でも、さらなる省エネ化の取り組みを進めてまいります。ダイキンエアテクノには、今後も省エネ化に役立つ情報提供やサポートに期待します。
お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。
今回の工事の概況
建物 : オフィスビル(鉄筋コンクリート造、地上5階地下1階、延床面積8,662m2)
工事内容 : 空調設備・照明設備改修及び断熱工事
工期 : 2014年1月~2014年6月
※ 取材日:2016年10月